月は他の天体の影響を怖れる

水サイン完結編です。
こちらの記事は8ハウス12ハウスの記事が下地になっていますので、合わせて読んで頂くと理解しやすいかと思います。

4ハウスはコンフォートゾーンを表す

コンフォートゾーンとは【安心の領域】のことです。

下記のサイトから引用させて頂きました。

コンフォートゾーンを超える「成長の4つの領域」

4ハウスの代表的な意味としては家や家族です。
その他、近所・地元・故郷・プライベートな場所・家庭環境・帰属する集団etc
これらは全て【見知っていて緊張しない=怖れや不安がない=安心】となる訳です。
※但し、人によっては見知ったものが安心に繋がらない場合もあります。

【何でもない身近な日常=いつも通り】
大体の人は仕事をするのも日常ですから、4ハウスに入ったトランシット天体の影響で「転職」として現れることもある。

その人特有の日常というのもあります。
習慣やルーティンになっているものです。
これらは山羊座が司るものでもありますが、山羊座のそれは目標のために意識的に行うもの。
蟹座のそれは無意識にやっていることだったり、何かの都合上そうなっているとか、意図して習慣化していない習慣。
「ダメだってわかってはいるけど習慣化しちゃってる」というのもここに入ります。

土台や基盤という意味もありますが、拠点の方がイメージしやすいかもしれません。
“安心出来る場所に拠点を置いて陣地を拡げていく”ように【コンフォートゾーンを軸足として人生を拡げていく】という感じです。

この拡げた領域が、後に土台や基盤になる。
土台は広い方がそこに建物を建てた時(山羊座まで行った時)に安定感が出る。
山羊座には安定という意味がありますが、蟹座の土台の大きさに比例する安定しか得られません。
山羊座と蟹座はIC(天底)とMC(天頂)のナチュラルサイン。人生を支える柱です。
基礎よりデカイ逆三角形の建物(土台が伴わない大きな目標)は建てられない(実現不可能)。

晩年を表すとも言われますが、それは歳を取ることで活発には動けなくなってくるので、家から出ることも少なくなるからですね。


で、人間に備わっている機能として、ホメオスタシス(恒常性)と言うものがあります。
ホメオスタシスは、変化を拒み一定の状態を維持しようとする働きのこと。

これは体内にも体外環境にも働きます。
ウイルスが体内に侵入すれば、異常を感知し元の状態に戻るべく体内の細胞がウイルスと闘います。
部署の移動で環境が変わるくらいの変化でもそわそわしたりするのだから、転職なんかはそりゃ不安になるに決まってます。

このコンフォートゾーンを守るホメオスタシスが蟹座の作用そのものなのです。

蟹座は、共感による結び付き(同じ括りにある仲間であること)を大切にします。
安心・安全を守るためです。

コンフォートゾーンの外は怖れの領域ですから、敵(自分を変化させるもの=安心・安全を脅かすもの)の侵入を拒む、巨人を防ぐ壁的なATフィールド(絶対不可侵領域)的なバリアを張ります。

よって蟹座は他を排除し、内にこもる傾向が出ます。
余り自分を表に出さなかったり、もしくは他者(の言葉)を受け入れなかったり。
この作用がプラスに働く場合もあれば、マイナスに働く場合もあります。

どちらにしても、それは“自分を守るため”であることには変わりません。

しかし、この安心を守ろうとする(不安や怖れ・居心地の悪さを感じるものを排除しようとする)働きが、“決まった行動パターン”を作り上げてしまうのです。

これが、ホメオスタシス。
いつもと同じが一番安心。

何度も決意しては迷ったりするのも、この所為です。
変化を拒み、元に戻そうとする力が働くから。

しかし上の図からも解るように、怖れを超える=決まった行動パターン(安心の領域)を出てこそ成長に至ります。
ですから、新しいことをする(いつもと違うことをする)際には挑戦の規模によって大なり小なり勇気が必要になるのです。

月は自分を守ろうとする

4ハウスは「落ち着く環境」や「安心出来る場所」と言われたりもしますが、案外そうでもありません。
寧ろ“安心を守るため(得るため)の闘い=防衛戦”になってくるので、割とサバイバル要素の方が強くなります。

『平和を求めて戦争する』のと一緒です。

それは4ハウス・蟹座のルーラーが月であることに関係します。

月は10天体中一番パワーの弱い天体です。
他の天体の影響を受けやすいのです。

だからこそ守りを固める作用が強く働くのですが、一方で他の天体の影響を排除して進化・成長を妨げる原因にもなります。

“共感”や“仲間意識”によって、“同類のもの=個人天体”しか受け入れない。

※太陽も個人天体と言われていますが、意識的に獲得していかなければ扱えないという性質上、社会天体寄りであると思います。

これが、月から太陽に行けない(太陽を使えない)理由です。

仲間意識って良く思われがちですが、でもそれも結局は派閥になって争い(競争)を生むんです。

決して平和はもたらしません。
(だから蟹座の象意に平和は入っていない。)

仲間内の平和を守る”だから“平和を求めて争う”という矛盾した状態になる訳です。

それは占星術で言えばスクエアで、エレメントが違うサイン同士のアスペクトなので葛藤になります。個人天体・社会天体・宇宙天体も活動方針が違うので、その間には摩擦が起こりやすい。

でもそこが手を取り合ってこそ、本当の平和(安心)に繋がるというものです。

(個々の違いを認め合う水瓶座が平和の象徴。天秤座も平和主義ではありますが、それは“争いを避けたい、もしくは主張が出来ないから相手に合わせる”“如何に相手と表面的に上手く関わるか”であって、真に相手を理解しようとする姿勢ではありません。←ここは8ハウスで学びます。だから天秤座には社交辞令とか八方美人という意味もある。)

“他者の主張を受け入れる=自分の中に無いもの(正確には自分の中に在るのに気付けていないもの=太陽及び社会天体や宇宙天体の活動方針)”を取り込む(怖れに向き合う)ための覚悟が4ハウスで整うと、8ハウスに繋がっていきます。

※他者と関わることで発生する影響はトランシットの天体の作用と同じです。
その人もホロスコープを持っているから。人と人は星と星。

これは蟹座の28度によく表れています。
「白人の恋人を部族に紹介するインディアンの少女」
自分達とは違う立場の存在(脅威)ではあるけれど、仲間の恋人ならば受け入れようと歩み寄りを見せる(変容の可能性を受け入れる)度数です。

月が他の天体の影響を受け入れることで成長する

確かに月のサインの性質(自分らしさとしての自覚)を手放す(=自分を変える)ことは、自分が自分で失くなる気がしてすごく怖かったり、かなり難しいことに思えたりします。
「手放したら生きていけない」くらいのことに感じる場合もあります。

だけど、それは幻想です。

月は(安心=心の平和=満足感を獲得する)欲求を表します。
“求めている”ということは“不足”であり“自分の中に無い”要素なのです。

最初から持っていない。

ハウスが不足を表します。
月のサインの性質としては持っているので在るようにも見えますが、その月をハウスで使う力が不足しているという感じです。

(太陽及び社会天体を使っていない場合です。)

ハウスで活かせていない=上手くは使えていない】になります。

だから、求める。

月の作用って子供が欲しいものを買ってもらえなくて駄々をこねるのと一緒なんです。
(月の年齢域は0歳〜7歳)

月の欠乏感というのは結構強烈で、大人でさえコントロールするのは難しいものですから、そりゃ子供は泣きじゃくったりどえらい暴れ方をしたりになります。
子供が駄々をこねた時の常套句は「あとでね」「また今度ね」「これが終わったら〇〇してあげる・〇〇買ってあげる」等かと思いますが、これは自分の月に対しても同じです。
因みに「子供をあやす」の<あやす>をカタカムナにすると“感じる”ものを“緩和する”ことで“一方向に進ませる”です。

月は守るものではなく、明け渡す(相手を受け入れる)もの。

月は女性を表します。
エスイーエックスで考えるとよくわかります。
SEXは8ハウスです。
4ハウスで相手を受け入れないと、そこには至りません。

他の天体は友好関係を築く(力のない月に安心を得られる力=願いを叶えて満足する力を与える)ためにアプローチして来ているにも関わらず、月は警戒して門を固く閉ざします。

警戒心もホメオスタシスです。
それが無いと詐欺とかに引っ掛かっちゃいますから。

ですが、門前払いしないでちゃんと門を開けて影響を確かめ、受け入れるべきものかどうかを見極めることが大切です。

他の天体の影響を受け取らない=太陽や社会天体以遠を使うための課題をスルーするっていうのは、注文した商品が届いたのに「そんなもの注文した覚えはありません!」みたいなこと。
完成品では来ないんですよ。
デアゴスティーニスタイルなので、パーツで来ます。
だからそれが欲しいものを手にするために必要なものだって気付けないこともある。

ホロスコープは月の成長物語。
月からはじまり他の天体を経由して真の月(本当の自分)に至る。

他の天体と同盟を結んで、月の願い(月のハウスで月を使うこと)を達成する力を得るのです。

人生の天下統一みたいなもの。
「天」の下は「地」
全ての天体を使うこと。
それが天地を繋ぐ=星の意図を体現すること。


人によっては受け入れ過ぎてコンフォートゾーンが無くなってしまっている人もいるので、鎖国が必要な場合もあります。

最初に説明したように、水サインは形が変わりやすいのです。
取り込んだものによって形が大きく変わります。←受容と変容(これは8ハウスの段階)

他者(の意見)を取り込みすぎても他者の形になって自分の形がなくなりますが、自分の形が脅かされる危険を冒してでも他を取り込まないと進化もありません。

コップの中の水に水を足し続けるような状態が4ハウスのコンフォートゾーンに留まるということ。
共感(同類)による結び付きは変化をもたらさず、水はいつまでも水であって水という枠を超えることが出来ません。
ですが、例えば水と油は混ざりませんから、水の中に入れると厄介なことになります。
油は水に浮くので、当の本人よりも油が主張し自己が抑えられてしまう形になります。
しかし、水に炭酸と苺のシロップを混ぜれば水は苺ソーダに進化します。
自己が活かされつつ周りと上手く調和している状態です。

このように、取り込む影響を見極めるのも蟹座の領域・4ハウスの仕事。

それは、子供に見せたくないもの・関わらせたくないものから子供を守ると言った母(=月=蟹座)の在り方に象徴されます。
しかし、ここで過保護にし過ぎてしまえば成長が止まってしまうので「可愛い子には旅をさせよ≒獅子の子落とし(=コンフォートゾーンから出る)」へ向かわねばならないのです。
それが父(=太陽=獅子座)の教えです。

それは本当に排除するべき脅威なのか。
可能性の否定ではないのか。

まぁ受け入れてみれば分かるので、だから8ハウスは受け入れる部屋になっている訳です。
“受け取る”のではなく“受け入れる”=受容です。

鎖国するべきか開国するべきかは人それぞれですが、どちらにしても4ハウスに月・太陽・土星・ドラゴンヘッド辺りがあると【自分の決まった行動パターンを変えること】【怖れを超えて成長していくこと】が課題になってきます。

4ハウスに天体がなくとも、トランシットで土星以遠+ドラゴンヘッドがICを通過したり、これらがネイタルの月にアスペクトした時には進化・成長を促されます。

個人天体ばかりを追い掛けたくなるのは、基本的に社会天体や宇宙天体は“望み”としての自覚に乏しいからです。
月の望みはコンフォートゾーンの中にありますのでストレートに欲求として感じますが、太陽の望みはコンフォートゾーンの外にあり“怖れ”の後ろに隠れているので、どちらかと言えば避けたいものだったり、挑戦してみたいけど怖いなっていう感情が出てきたりするもの。

しかし、魂としての望みはそちらにあります。

目的意識や社会で達成したい在り方(目指すべき場所)を表すのは太陽や土星になりますが、これらは社会天体であって個人天体ではありません。

自己実現を願望実現と混同している方が多いのですが、自己実現とは天から与えられた力を地球(地)に返すこと=持って生まれた資質を使い社会に貢献することで自らも豊かさを受け取ることであり、個人(天体)の願望を実現することではないのです。

ですから、社会天体を受け入れて使うことで、ようやく個人の願望ではない願望(社会で達成するべき人生の目的=生まれて来た意味)に辿り着きます。

4ハウスの抽象化<図解>
※画像クリックで拡大出来ます。

スピリチュアルをある程度理解している人はわかると思うんですが、天と地ってひっくり返っててすごく逆説的で、だから本来月には宇宙への回帰欲求があるけれど、地上に来たらそれはストレートには出ないものなので月を求めても手に入りません。

逆に、他の天体を求めることで手に入ります。

これらの月の作用は基本的には無意識です。
自然に拒否をしているので、自分では気が付きにくいもの。

その無意識に気付くのは8ハウス・蠍座なので、蠍座の16度では「人の運命が切り開かれない原因として、心が対象に対して閉じていて拒否的な姿勢になっていることに気が付いていない」ということが指摘された上で、蟹座の後半度数で獲得した受容性を確立していく流れになっています。

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余談ですが、これを書いていてだから子供って秘密基地とか好きなんじゃないかなって思いました。
布団の中に潜り込んだり、押し入れにこもるとか。
子供の頃ドラえもんが羨ましかったのを覚えてます(笑
今時は“おうちテント”になるのかな。
無意識に大人の影響から逃れようとする行為なんだろうなと。